和光小学校幼稚園校園長ブログ「子どものなる木」僕の身体の中に未だしみこんでいる「和光魂」が たくさん詰まった作品 ~堤大介さん原作・監督『ONI~神々山のおなり』~





















和光小学校、中学、高校を卒業後、アメリカのスクール・オブ・ビジュアル・アーツで学び、アニメーション・アーティストとして活躍中の堤大介さんから、長編アニメーション作品、『ONI~神々山のおなり』を、せひ和光小学校の子どもたちに、と連絡を頂きました。

堤大介さんといえば、2015年、第87回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた『ダム・キーパー』を制作し、この年は雑誌「PEN」(メディアハウス)に<発想と行動力で勝負する、挑戦者たち。世界に誇るべき ニッポンの100人。>の一人として紹介されていたことを思い出します。

『ダム・キーパー』は、大気汚染から街を守るダムを動かす作業を任され、街の人々から存在を忘れられながらも作業を続ける孤独なブタの少年のもとに、ある日キツネの転校生がやってくるところから物語は始まります。18分の短編映画の中に環境破壊、差別、いじめが描かれ、油絵のような優しいタッチで描かれるブタの少年の悲しげな表情が印象的でした。そして、か弱い存在に向けられたまなざしの暖かさに心打たれたことも忘れられません。

堤大介さんは、ルーカス・ラーニング、ブルー・スカイ・スタジオなどで『アイスエイジ』や『ロボッツ』などのコンセプトアートを担当。2007年ピクサーに招聘されアートディレクターとして『トイ・ストーリー3』や『モンスターズ・ユニバーシティ』などを手がけました。2014年、ピクサーを去り、トンコハウスを設立し、その初監督作品が『ダム・キーパー』でした。

今回発表された『ONI~神々山のおなり』は、日本の民話そのものを題材にしているわけではありませんが、民話に登場する鬼や妖怪の設定を用い、日本の各地に伝わる鬼伝説を訪ね構想を練ったということです。

「鬼」とは、自分たちと異なる容姿への畏怖の念から生まれたといわれています。堤さんは、見た目や文化、価値観など自分とは違う者を排斥する風潮が世界的にエスカレートしていることを感じ、自身もアメリカに外国人として30年生活しマイノリティであることを意識した時、白人がマジョリティである街に暮らす息子さんに、この作品と通じて「鬼」の概念を伝えたい、という想いを抱いたといいます。

堤さんから頂いたメッセージには、<この作品には僕の身体の中に未だ染み込んでいる「和光魂」が沢山詰まっています。それは太鼓だったり、民舞だったりという部分もそうですが、物語のテーマである「見えないものへの恐怖」ということも和光学園の平和教育で育まれたものです。>とありました。

現在、Netflixで四話に分けて配信中です。週末、第一話を視聴しました。布で作ったような柔らかな質感で登場するキャラクターたち。日本古来の森を目指したという「神々山」は、屋久島まで足を運んだという深い森の中を感じさせる世界観で描かれ、トンコハウスの特徴である“光と色の圧倒的な美しさ”が余すところなく表現され、暖かさと優しさ、懐かしさを感じました。

堤さんが「和光魂」とおっしゃっているように、音楽には太鼓と篠笛が使われ、主人公おなりを先頭に、みんなが「ドンツコツコ、わっしょい、わっしょい」と叫ぶクライマクスのシーン、これは4年生が踊る岩手県の中野七頭舞のリズムでした! 
   
予告編はこちら

また、先週末から東京立川のPlay!ミュージアムという美術館で「ONI展」として大きな展覧会を開催しているというので、週末に出かけました。

映像制作の舞台裏などが紹介されていて、とても興味深い内容でした。この会場では、作品の上映も行われており、大画面で観ると素人の私にも、場面の隅々まで丁寧に描かれた3DCG映像の素晴らしさが伝わってきます。

展覧会の情報はこちらです。 

出口の近くで、思いがけず堤大介さんにお目にかかることができました。
お姉様で国際ジャーナリストである堤未果さんともども、和光で学び育ったごきょうだいのご活躍、とてもうれしく、心より応援しています。



            

             

































立川 Play!ミュージアムにて 2023/01/29


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